【羅臼岳】男3人で世界の果てを見に行く旅
2018/9/3_「羅臼岳」
ルートは岩尾別温泉からのピストン、北海道遠征第3段。
ひょいっと集まった馬鹿3人で世界の果てを巡る旅。
地の涯にある楽園、「羅臼岳」に登ってきた
【ルート】
道東3連戦最終日、真打「羅臼岳」へ
「そうだ、北海道に行こう」くらいの軽い気持ちで、道東百名山3連戦をしてきました。
◯1日目:「斜里岳」ソロ
いい天気~、最高!
◯2日目:「雌阿寒岳」
いい天気~、最高!
ここまで来て渋る金はねえ!と特選海鮮丼、人生の最高潮を迎えました。
宿に向かう途中、知床峠から羅臼岳が夜空に浮かび上がっていました。思っていたより寒くない。
宿は登山口に直結しているホテル「地の涯」、素泊まり3500円。電波は通じないという情報しかなく、いったいどんな宿が出てくるのか戦々恐々でしたが、期待を裏切るすごくきれいな宿でした。
部屋も広い。ほんとはもっとくつろぎたいところですが翌朝4時起きのため、温泉に入ってそそくさ就寝しました。
ヒグマの気配と地獄の樹林帯
翌朝、空が白み始めた時点で出発。
空が期待をさせる色をしています。
写真奥の登山口掲示板にはヒグマ目撃情報が書いてあります。
今回僕らが辿ったルート上には今年13箇所の目撃情報が記載されていました、どう避けろっちゅーねん。
羅臼岳はヒグマガチャ。
登山口で山行の無事をお祈りしていざ出発、結構普通の森です。
入山前は「登りCT5時間くらいだし大したことないっしょ」とタカをくくっていました。ちょっと眺望が開けると眼下には海、その新鮮さでまだワクワクしています。
1時間ほど進んだあたりで雲行きが怪しい、「樹林帯が終わらない…」。
両脇からヤブが覆いかぶさるような樹林帯がひたすら続き、メンタルを奪います
砂漠で水を求める人のように、「眺望…」とぼやきながら進む。
集中力を欠き、各々に低木に頭を打ちまくりです。
同行した小柴は人生5回目の登山で羅臼に連行されました。
一方、よく登っている林との表情の差で登山練度の差が伺い知れます。
樹林帯を抜け、神々の庭へ
虚無の樹林帯を2時間歩いたところで、ついに目の前に景色が。
龍の巣の先にラピュタを見たパズーみたいなテンションになります。
前が開けたということは、後ろにも景色が。見渡す限りのオホーツク海。
この「登ってきたな~」って瞬間はなんど体験してもいいものです。
さっきまで死んでた人も蘇生しました。
あの峠を超えれば太平洋が見える!
そんな勢いで羅臼平まで一気に登りきります。
羅臼平に到着、ここから一気に眺望がひらけます。
まだ8時とかなので晴れて入るけど白みかかった空です。
反対を向けばこれから目指す頂。
このときは太平洋側からガスが湧いては抜けるのを繰り返していたので、山頂での天気が気になりそわそわしてました。
峠の向こうには太平洋に浮かぶ国後島がはっきり見えます。
横からだとめちゃくちゃでかい。立派な山もいくつかあるみたいです。
羅臼平は広大なテント場になっていますが、一際目を引いたのがこのフードロッカー。
食料をテントに置いとくと匂いでヒグマが来るそう、こわ。
休憩もそこそこに、山頂アタック開始。
ここからのコースタイムは1時間、目標が見えているので気力が湧いてきます。
羅臼岳登頂、360度の絶景
羅臼平からちょっと登るとある水場がこの岩清水。
いわゆる水場とは違って岩のあちこちから水滴がポツポツ垂れており、そ子に生える立派な苔に長い年月を感じます。
このあたりで後ろを振り向くと「oh...」と言葉を失います。
荘厳とか神秘的とか、そんな言葉では語れない風景になってきました、そして三峰の双耳峰はちょっとかわいい。
山頂直下はがれ場、吹きでた硫黄が岩にこびりついています。ゴールはもう目の前。
羅臼岳登頂、晴れた!なんやかんや標高差が激しかったので結構疲れました。
山頂を越えたときの醍醐味、反対側の景色です。北海道の地平線がどこまでも続きます、でけえ。
知床からCC7の宣伝を送信する男。
山頂から知床岬方向、先端までの縦走したくなります。ひたすらにきれい。
山頂で1時間弱ダラダラして下山開始、上から見るとすごい斜度である。
休んだし、景色がいいしでみんな上機嫌。
羅臼平まで降りてくると海の向こうに国後島がはっきりと見えました。「じゃあな国後島!帰ってこいよ!」とちょっとブラックな言葉とともに、その場を後にします。
羅臼岳の全容もバッチリ、すごくきれいな形。この日は段々ガスが晴れてスッキリした空気になるパターンでした。
「この最高の気分がすり減らないうちに下山するぞ!」と樹林帯を駆け抜けます。下山はつらいとか思い始めたら終わり、何も考えずに足をまわす。
そして、昼前に下山。そういやヒグマに会わんかったな。
ホテル「地の涯」、宿泊者は下山後に温泉に入ることができるサービス付きです。開放感のある露天で汗を流し、感想を言い合いながら一服。生きててよかった。
温泉のあと、夜の飛行機まで暇だったので網走監獄へ。解説も丁寧で、観光地として一級品だったのですが、あまりの疲労で消化しきれなかったのが無念。
下山後、宿のお兄さんに「羅臼はホント晴れないし、天気予報も全く当たらない。よかったね」と教えてもらいました。
羅臼登山は「天気良さそうだし、羅臼やっちゃう?」と北海道に来てから決めたものでしたが、やっぱ思い立ったが吉日だし運も味方してくれる気がします。
いやはや、いい山だった。
登山はなぜおもしろいか
「登山ってなにがおもしろいの?」
登山を始めてこの1年でよく聞かれ、よく答えに詰まる質問です。
先週末に1人で北アルプスを2泊3日で縦走してきました。
ひとりなので当然何も喋らず、ただ黙々と登り降りするだけの3日間。
その中で「登山ってなにがおもしろいの?」の答えが少し見えた気がするのでつらつらっと書いてみます。
1. 景色が素晴らしい
一番わかりやすく、明快な答えでしょう。
そう、山の上から見る景色は山の上からでしか見ることができません。高ければいいのであれば飛行機でもロープウェーでもいいじゃないかと言われそうですが、山から見た光景は自分の足に感じる地面と確かに続いている実感がありワクワクします。
いい景色を正面から食らうと毎度「これはいい…」以外の語彙力を失うのですが、それは致し方なし。
しかし、今回の北アルプスは後2日がガスガスの眺望0でも楽しかったので、自分にとっての登山の楽しさは景色だけではなようです。
2. 思ったよりやれてしまう自分がいい
目指す山頂が遥か彼方によく見えたりすると「あそこまで行くぞ」というゴールが果てしなく感じます。ほんとに今日中にあそこまでいけるのか…とか気が滅入ったりもしますが、往々にしてヒョイッと行けてしまいます。
また、黙々と沢道を登るルートでは眺望は少なく、黙々と足を回すだけです。ふと疲れて後ろを振り返ったとき、多くの場合スタート地点は遠く向こうに沈んでいます。
そんなときに「お、自分も結構やれるじゃん」と思ったりするわけですね。
この感覚が結構好きです。なので、登りは好きです。
この感覚がなく、ひたすらメンタルと太腿を削られる降りがあまり好きではありません笑
3. 自分との会話が楽しい
たぶん自分はこれが一番楽しいです。
山を歩くと自分の身体と相談した上での自己判断をひたすらに問われます、大きなところは「疲れとペース」「補給のタイミング」でしょうか。
長いときは10時間位ぶっ通しで歩くので、最後まで歩き通せるペースで管理しなければいけません。身体の一部に局所的に疲労がたまると動けなくなるので、疲れを分散させる事も大事です。
ザックを背負っていて背筋に疲労を感じてきたなら、ベルトやストラップを調整して一旦腰で担ぐようにする。降りで腿の耐久に不安があるなら、ストックを長く調節し衝撃を上半身で受けるようにする。
また、カロリーが切れても動けなくなるので「腹が減った」と感じる前に、どこで何分止まってなにを補給するか。その行動は今日のゴールに影響はないか。
黙々と歩く中で、こんな事を考えながら身体の1日を組み立てていきます。
複数日の縦走になると、1日だけではない組み立てになるのでより考えることが増えます。そこには身体だけでなく天気などの不確定要素も入ってくるため、目的を確実に達成するためにはどうすればいいかを深く考える必要があります。
スピード感はないものの、常に考えさせられ飽きない感じが好きです。
また、この判断プロセスを限りなく高速化したものがオリエンテーリングの楽しさなんだろうとも、最近になって思います。
どこにでも行けることがおもしろい
書いてみるとありきたりに言われている事ですね。
最近は「登山ってなにがおもしろいの?」と聞かれると、「自分の力でどこにでも行けるほうがおもしろいじゃん」と答えるようになりました。これが自分の中でしっくり来る回答なのですが、他の登山愛好家の「私はこれが好き」をもっと聞いてみたいでですね。
しかし、こうしてみると登山もオリエンテーリングも面白さを感じてるところは変わってないな…
自分の力でどこにでも行けることが楽しいので、もっとどこにでも行ける力をつけようと思います。
というわけで、雪山もアルパインクライミングもやりたい今日このごろ。
~おまけ~
— 本多たかし (@sanpomich) August 2, 2018
これはTwitterで回ってきたヤマノススメパロ…かと思いきや、元ネタは神々の山嶺なんですね。読まないと…
「山は山だ、山なんだ。山に登ることだ」
山がとても好きになってしまった、今となっては非常にわかる言葉です。
【鳳凰三山②】変わる景色に目が回る、チャレンジングなバリエーションルートの旅
2018/5/26-27_「鳳凰三山」DAY2
前編の続きで鳳凰三山2日目。
前編はこちら↓
motos-mountainlog.hatenablog.com
2日目は南御室小屋から千頭星山経由で青木鉱泉に降りるバリエーションルート。
【ルート】
DAY1:300min(青木鉱泉~ドンドコ沢~地蔵岳~南御室小屋)
DAY2:270min(南御室小屋~苺平~千頭星山~青木鉱泉)
※休憩抜きの行動時間
穏やか夜明けと誰もいない分岐点
すっかり曇りにやられてしまった1日目。
晴れ予報に期待しながら就寝、起きてテントから顔を出すと…
標高が低いため満天とは言わずともですが、いい星空です。
否応なしに今日の山行への期待が高まります。
思っていたより寒くないのでボヘーっと星を見ながら朝食の支度を。山でボヘーっとする時間は贅沢な時間です。
元々の計画では薬師岳まで登り返して日の出を見るつもりでしたが、初日で結構疲れたので潔く諦め。夜明けまでテントで待機してから出発しました。
日の出への心残りを胸に、南御室小屋から苺平へ歩き始めて5分。なんと一部開けた場所があり、日の出に照らされる大雲海に出会うことが出来ました。
おいおい、こんなスポットがあるなら誰か教えてくれよ~と思いながらしばし絶景に浸る。たった10分で鮮やかに色が変化する雲海を満喫しました。
バリエーションルートをたどり千頭星山へ
千頭星山への分岐点がある苺平へ到着するも分岐が見当たらない。仕方ないのでざっくりコンパスで森に入ってルートファインディングし無事に道を乗り換えました。
苺平からはひたすらつづら折りの急斜面、鬱蒼した森で基本的に眺望無しです。
けれども、雲海から顔を出す富士山は見えました。もやもや。
このルートの見どころ、大崩壊地。 斜面をスプーンで掬ったかのような崩れ方。
登山口付近では土石流を堰き止める土木工事を進めていたけど、この量の土砂が来たらもうどうしようもない気がする。
崩壊地の右フチをなぞりながら大ナジカ峠に向かいます。
下り続けてはや一時間、ようやく大ナジカ峠。
急斜面に太腿を消費させられましたが、ここから千頭星山への地獄の登り返しです。
マジか…とこれから登るべく斜面を見つめる。
ちなみにこの辺から登山道が雑になります、登山道の管理者に「ごちゃごちゃ言わずに登りゃつくんだよ」と言われている気分です。
僕はストックに縋って登っていましたが、もっさんもたまらずそのへんに転がっているストック代わりに。
小学校の登山遠足で誰が一番かっこいい棒を拾ったかを競った記憶が蘇ります。
南御室小屋の親父さんに聞いていた山頂付近の核心部。そこまで難しくはないですが、ロープがゆるんゆるんなので斜面側に体重を預けると危ない。
核心部を登り切ると鳳凰三山側の眺望がひらけます。
写真右側の崩壊地脇をひたすら歩いてきたのだな~と達成感、そして登り返し過ぎでは…というひろ疲労感。
観音岳と遥か向こうに地蔵岳のオベリスク、おい!めっちゃ晴れてんじゃねえか!
下山すると晴れる法則はどの山でも健在。
そんなこんなで千頭星山登頂、山頂の眺望は無しです。
気温も上がってきたのでしばし木陰で補給休憩、ここから大西峰までは一般道にもどります。
快晴の下、クマ笹の草原を抜けて
千頭星山を乗り越えると突然視界が開けます。
正直2日目のルートには景色を期待していなかったのでテンションあげあげ。
奥には八ヶ岳様も浮かんでいます。
終始登山者に厳しいルートですが、ここだけは優しい雰囲気。
たまに優しくされると心をやられます、ちょろいので。
木々の隙間から顔を出す薬師岳と砂払岳。かわいい。
大西峰をすぎるとまたも怪しい登山道に戻ります。
道脇の石にこんな謎な記号が多く刻まれてていました、しばらく意味を推測してみたけどまったく法則性が見えず断念。何だったんだろ。
まさにアドベンチャー、ルートファインディングで青木鉱泉を目指す
御所山からはもはや登山道なし、地形を読みながらルートファインディングで進みます。写真が一枚もないのでかなり注意深く進んでいたのでしょう。
しかし、尾根を外れ青木鉱泉へ落ちていくルートを捉えられず、現在地ロスト。仕方ないので山と高原地図アプリのGPSで…
おいおい、いちばん大事なところが隠れちゃってるよ…
GPSの点が「櫛片山」の文字の上に浮かんでいたときの悲しみたるや。
ルートを過ぎたか、まだ先か、もっさんとしばらく議論しても答えはでず。行き過ぎた印象はあったので、ルートを捉えるべく斜面をコンタリングしながら戻ります。「ルートファインディングのいい練習だ」byもっさん、たくましい。
その後無事にリボンを発見し復帰。あとは青木鉱泉に向かって落ちるだけですが、ここの斜面がまたすごかった。すごすぎて一度3回転くらいしながら落ちました。到底登りルートでは使えなさそう。
下りきった先に南アルプスの天然水が湧いてました、ひっそりとむしたコケは萌え。
9:30過ぎに無事下山、いやはや出発が早いと到着も早い。
山の後は温泉、青木鉱泉は小さい湯船でしたがぬるめの湯で、日差しを浴びまくった登山の後には心地よかったです。
風呂上がりのコーラとベンチで昼寝するもっさん。
車を運転しながら振りかえるとさっきまでいた稜線がきれいに見えました、完全に夏だ。
今回は普通の土日で弾丸縦走でしたが十二分に満喫できました。むしろ、帰宅時間が日帰りより早いので翌日の出社も精神的に楽な気がします笑
お誘いを受けて初めてのバリエーションルートでしたが、アドベンチャーな感じが非常にワクワクさせてくれました。
この夏はガンガン登って山スキルを高めるぞ!
【鳳凰三山①】白い山脈縦走とオベリスクとの真剣勝負
2018/5/26-27_「鳳凰三山」DAY1
ルートは青木鉱泉からドンドコ沢、南御室小屋で一泊し、千頭星山経由で青木鉱泉へと周回するタフなルート。
アドベンチャーレーサーもっさんとチャレンジングな山行。
花崗岩の白い稜線、鳳凰三山に登ってきた
【ルート】
DAY1:300min(青木鉱泉~ドンドコ沢~地蔵岳~南御室小屋)
DAY2:270min(南御室小屋~苺平~千頭星山~青木鉱泉)
※休憩抜きの行動時間
個性豊かな滝を巡りつつ、ドンドコ沢を詰める
朝3時に都内でもっさんを拾って、5時半に青木鉱泉に到着。
車内では眠気に目をこすりながら一級河川と二級河川の違いなどの話をしてました、専門が違う人の話は面白い。
さて、まずドンドコ沢をひたすら詰めて地蔵岳を目指します。
快晴との予報だったのに、登山口は曇り。まあ尾根まで出れば晴れるっしょ~と気分を上げて登山開始です。
本格的な登山道に入る前の立派な堤防、めっちゃ泣いてる。
後ろには目指す稜線が見えています、標高差はびっくり1750m。
ドンドコ沢ルートでは道中で個性豊かな滝を巡ることができます。
最初に出てきたのがこの滝、結構立派でしたが名前はないようです。
滝がシャーってなってる写真を撮りたかったけど、三脚を出すのが億劫でパス。
南精進ヶ滝、THE・滝っていう風貌です。
休憩しながら、空を覆う分厚い雲が吹き飛ぶように念を送ります。しかし、これはだめな予感。
鳳凰ノ滝、写真だと伝わりにくいですが横幅も奥行きもでかい。ちょっと奥まったところにあるのでルートからは寄り道になりますが、一見の価値はあった。
もっさんの選ぶ「本日のBEST滝」を受賞したのもこの滝でした。
滝エリアを黙々と登りつつ、鳳凰小屋の手前まで来ると突然フラットな森に出ました。北欧オリエンテーリングのPVでよく見る景色って感じです。
このあたりから青空の気配が出てきました。奥には山頂にそびえるオベリスクも見え、疲れた身体が漲ります。
鳳凰小屋で給水、なんと南アルプスでは南アルプスの天然水が無料で飲み放題です。
小屋のおっちゃんに南御室小屋まで行きます~と伝えたら頑張れ~と応援されました。
小屋を過ぎてちょっと歩いたところでいい感じの大木がありました。
山を歩いているとたまにすごく好きな木に出会いますが、毎回タイプが違うので自分の好みはよくわかりません笑
地蔵岳山頂を目指しオベリスクと勝負
地蔵岳直下の急登は足場が全部砂、このエリアだけで標高差250mくらいあります。歩きやすい逃げ場は何処にもなく、正直ここまでの1500mと同じくらい疲れました。
しかし山頂は目の前、青空も広がってきました。
地蔵岳直下、賽の河原に到着!オベリスクをバックに写真を!と同時に空が雲に包まれました。この後は青空を拝むことは叶わず、なんでや~。
賽の河原にはお地蔵さんがずらりと並んでいます。
こんな高さまで誰が持ち上げてきたのだろうか。
オベリスクを攻略しなければ地蔵岳に登ったとは言えない…と、2人共荷物をデポって勝負に出ます。
遠くから見ると意外と小さい?って印象のオベリスク、目の前に立つとそれは巨大な岩の塊。
日和った僕を尻目に、アドベンチャーレーサーの血が滾ってしまったもっさんが岩に飛びつきました、すげえ。
登れるとこまで登ってきましたが、最後の一枚岩だけは鎖を掴めず断念、登る人はカムアンカーを持ってくるんだろうな。
山頂付近は南アルプス北部を一望できる絶景です。
南アルプスの主峰に囲まれ、白い稜線を縦走
オベリスクに遊んでもらったら南御室小屋まで続く縦走の開始です、我々はこのために登ってきたのだ。
南アルプスはほとんどが堆積岩で出来ていますが、鳳凰三山は珍しく花崗岩で構成されており、その砕けやすい花崗岩が稜線上の白い砂浜と崩壊地形を作っています。
「山は縦走してこそ」とはしゃぐもっさん。
まだまだ雪が残る北岳をバックに「アルプスに来ました!」的な一枚。
稜線上に落ちてた木、囲むように置かれた石も相まって召喚されたモンスター感がすごい。
ふと後ろを振り向けばオベリスクは遥か向こうに。遠くに見えるものも、歩いてみれば意外と歩けてしまうことは山の大きな魅力だと思います。
ちゃっかり南アルプスの女王様:仙丈ヶ岳が後ろに写り込んでいます。
鳳凰三山の中央、観音岳についた頃には東側から雲が上がってきました。しかし稜線で止められてる雲は個人的萌えポイント高めです。
薬師岳では休憩しながら山同定タイム。
スマホアプリの地図はGPSもあり非常に便利ですが、広げて広範囲を見ることができるのが紙地図の魅力ですね。
いい時間になってきたので、森林限界上から降りてシュっと南御室小屋へ。6時前に登り始めての14時到着なので無理のないベストなペースだったと思います。
2人とも疲れと眠気に襲われていましたが、しかし山でのビールは義務。テントを張ったら、早すぎる夕飯をツマミに酒を飲みながらとりとめのない話を。
そんな中で「20歳までビール無しでどうやって生きてきたのか思い出せない」byもっさん、という名言も生まれました。
眠気の限界が来たので17時に就寝、起きた頃には晴れて星空が見れるといいなと思いながら寝袋に潜りました。
DAY2へ続く
【大菩薩嶺】爽やかな初夏に天空の草原を歩く
2018/4/29_GW第3段「大菩薩嶺」
ルートは丸川峠からの周回コース、GW初っ端だったので軽めに。
晴れ女けい様と快晴の山行でした。
天空の大草原「大菩薩嶺」に登ってきた
【ルート】
登り:135min(丸川峠→上日川峠→雷岩→大菩薩嶺)
下り:170min(大菩薩嶺→大菩薩峠→石丸峠→上日川峠→丸川峠)
爽やかな初夏の風の中、草原の稜線を目指す
GW渋滞を避けるため、4時に都心でけいを拾っての5時過ぎに談合坂SA。雲ひとつない青空に、最高の山の予感。
6時半、丸川峠に到着し登山開始。長兵衛小屋までに捻じれた倒木が何本かあり、なんでだろうな~とか話をしながら、朝の澄んだ空気のを吸い込みながら樹林帯を上がっていきます。
ロッジ長兵衛の横に立っていた存在感のある大木、なんでもない木のはずなのにものすごく惹きつけられました。
ロッヂ長兵衛から少し登って福ちゃん荘。ここまで来ると目指す稜線が見えるように。うお~早くあの上を歩きたいという気持ちに押され、自然と足早に。
稜線までは草原の急斜面を垂直に登っていきます、気持ちはいいけど上が見えている分つらい。しかしけいの登りはめちゃくちゃ速い、前を引っ張ってもらいました。
登りがキツイと足元をばかり見てしまいがちだけど、後ろを振り向くとご褒美と言わんばかりの絶景が。
この存在感、やっぱり富士山は見る山だなぁ。手前の大菩薩湖もいいアクセント。
稜線まで上がったら、ピークハントのためとりあえず山頂へ。噂に違わず眺望0なピークでしたが、森の雰囲気がすごく良くて癒やされました。
突き抜ける青空の下、天空の草原を歩く
山頂をとったらちゃちゃっと戻って縦走開始。自分が進んでいく遥か向こうが見えるのが縦走の魅力、心地いい気温と風の草原を歩いていきます。
改めて写真を見返すとめちゃくちゃ天気がいい、最高。
稜線上で富士山とけい、圧倒的晴れ女感。
カメラを買ってからというもの、人を撮るのが楽しい。
ふと後ろを振り返ると大菩薩嶺を代表する構図がありました、実際現地で見ると思っていた以上に雄大です。
あそこから歩いてきたんだなぁ。
親の顔より見た大菩薩峠、実は中高時代のイベントで毎年ここの峠越えをしていました。人生6回目の大菩薩峠が全く違った景色に見えたのは自分のものの見方が変わったからか、山が好きになったからか。
熊沢山を超えて石丸峠に。
ここまでがなだらかだった分、こうして上から見下ろす構図も新鮮です。
石丸峠から上日川峠までは等高線に沿いに降りていきます。
下山は歩いているだけで景色お腹いっぱいで、登りでは気がつけなかったものにも気がつけたりするのが楽しいと思います。
樹林帯まで降りてくると、朝の日差しから打って変わって夏の雰囲気に。
しかし、まだ気圧されるような緑ではなく、爽やかさの残る新緑。登山シーズンの到来を感じてワクワクしました。
予定通り昼過ぎに丸川峠に到着して無事下山です。
下山後は甲府盆地を楽しみ尽くす
下山後の昼食はせっかくなのでほうとうを食べに。
ふらっと寄ったところが登山後の格好できていいのか~みたいなお店でした。
山梨県内屈指のほうとう専門店「ほうとう処いしはら」【街並画像.com】
しかしノンアルであっても登山後のビールは身体に染み渡る。
けいと解散した後にほったらかし温泉へ
たまたま見つけて寄ってみたけど、これがまた凄かった。すっぱだかで甲府盆地を丸々見下ろせる場所は多分ここだけだろう。
風呂の後に宿泊地を求めさわら池キャンプ場へ。
韮崎市営さわら池キャンプ場/富士の国やまなし観光ネット 山梨県公式観光情報
ここもたまたま見つけたのだけど、かなりの穴場。GWなのに人は少なく、池の畔でゆったりと身体を休めることができました。
無計画に放浪すると思いがけない出会いがあります。
お気軽ハイキングくらいな気持ちでしたが、丸川峠から石丸峠周回ルートはそれなりに歩きごたえがありました。
小菅側からも何回か登っていますが、眺望の良さならダントツで塩山側からだと思います。
【燕岳】立ちはだかる壁の向こう側、雪化粧の女王との対面
2018/4/30_GW第2弾「燕岳」
ルートは中房温泉からの日帰りピストン。
「残雪のツバクロに行きたい!」で釣れた金沢の山バカ、おーたけ君と雪山登山デビューでした。
- 北アルプスの女王「燕岳」に登ってきた
- 樹林帯を抜け合戦小屋へ、初めての雪山登山
- 北アルプス三大急登「合戦尾根」を抜けて
- 女王「燕岳」とのご対面
- 燕岳には山の楽しさが詰まっている!
- 帰りはサクサク、下山後は当然温泉
北アルプスの女王「燕岳」に登ってきた
【ルート】
登り:210min (中房温泉→燕岳)
下り:180min (燕岳→中房温泉)
樹林帯を抜け合戦小屋へ、初めての雪山登山
初めての北アルプス、初めての雪山。
ということで、できる限りの早出。4時集合の5時出発です。中房温泉までは10km超の細い山道で、夜明け前の運転はスリル満点。しかし、対面からの車が来ないため快適なドライブでした。
登り始めて30分、雪は何処へ。GWの北アルプスでなぜ「暑い」とぼやきながら登っているのか。
もしかしたら雪なんてないのではないか、と疑いながら第三ベンチを過ぎたところで…
来ました、雪です。
多少手こずりながらも装着できたアイゼン。その心強いホールド感に「俺たちはどこにでも行ける!」とはしゃぎながら登っていきます。
合戦小屋まではひたすら急斜面の樹林帯が続く、つらい!と騒ぎながらただ登る。
たまにスタスタっと雪を駆け下ってくるベテランの方々に驚きます。
樹林帯はここまで、合戦小屋まで上がってくると一気に眺望が開き爽快な雰囲気に。
しばし眺望を満喫しながら休憩したら、核心部である北アルプス3大急登「合戦尾根」へ。
北アルプス三大急登「合戦尾根」を抜けて
合戦尾根は下からだと思ったより緩い?という印象。しかし、登り始めて気がつく「登山道が真上に向いてる…」
全体的に傾斜がきついルートですが、合戦尾根は蛇腹道でなく直登しているます。この道を設定した人に「何故ですか…」と思いを馳せながら、登ります。直登は遥か上まで見えるので気力を削がれるのきついです。
しかし、登りがキツイということは高度もぐんぐん上がる。次々と変化する景色にワクワクします。
尾根の向こうにヤツが現れました、槍ヶ岳。確かに誰もが「あの上に立ってみたい」と思うであろう凛々しい姿です。
合戦尾根も直登部分を超えると正面の景色が開けます。山頂を眼前に捉え、疲れも吹き飛び気分も上々。
稜線の上に立つ燕山荘を見つけ、勝利のポーズ。燕山荘が見えてからの登りが地味にきつくひーひー。
燕山荘について建物を回ると、ついにご対面です。
女王「燕岳」とのご対面
燕岳山頂の美しい姿。
写真でよく見る景色ですが、実際に見るものは全く違いました。時間が早かったからか人は少なく静かな稜線の上、その存在感を前に立ち尽くすだけ。 こんなに美しい景色がこの世界にあるんだなぁと思いながら、何故か涙が止まらず。
この瞬間のために山に登り続けよう、と思わせてくれる景色でした。
燕山荘に荷物をデポして山頂へ。ここの稜線は白い砂浜と花崗岩の巨岩に囲まれ異世界感がすごい。
そんなこんなで山頂に到達。立派な山頂碑もいいけど、こじんまりしたのもまたよい。
燕山荘から山頂が思ったより遠く、疲れた~とダラダラします。
山頂から北アルプス中心方向の眺望、なんて贅沢な時間。
燕岳には山の楽しさが詰まっている!
燕山荘~燕岳にはこんなユーモアあふれる自然もありました。
花崗岩の眼鏡岩、ぽっかり空いた2つの穴がどうやってできたのか気になります。
思っていた3倍くらい大きくて、往路では見落としてしまいました。
イルカ岩と槍ヶ岳。
この構図で見ると「あーこれはイルカ」って感じですが、これも近くに行くとめちゃくちゃ大きな岩です。ここにイルカを見出した最初の人は天才だと思います。
これをやるために燕岳に登ったといっても過言ではないでしょう、満足です。
燕山荘に戻り、最高の登山に祝杯を。
ツマミは「俺たち絶対結婚できないな…」とぼやきながら炒めたソーセージでした。
燕山荘は国内トップの満足度を誇る山荘だけあって、とてもきれいで落ち着ける雰囲気でした。
帰りはサクサク、下山後は当然温泉
山の上を満喫しつくし、下山へ
9時過ぎから若干空が白くなり始めたものの、下山は常にこんな眺望。
身体は疲労しているはずなのに、不思議とそれを感じません。
雪山の下りは、夏山より快適でした。重力に身を任せ足を回せば自然と前に進む。
登りでは顔が死んでたおーたけも元気を取り戻した様子。
冬山の枯木が持つ白と、澄んだ青のコントラストが好きです。
(レンズの汚れに気が付かなかったのはご愛嬌)
よくこんなに登ったな~といいながら下ること2時間半、登山口に戻ってきました。初めての雪山、無事に下山完了です。
後ろの小屋が「中房温泉 湯原の湯」、吸い込まれました。やはり温泉に入ってこその登山。
勢いで突っ込んだ燕岳、得られたものは想像以上の体験でした。
各方面から「夏のツバクロもいいぞ」と聞かされているので、次は表銀座縦走と合わせてまた登ろうかな。
【至仏山】GW限定ルート、まだまだ雪深い雄大な尾瀬に包まれる旅
2018/5/2_GW第1弾「至仏山」
ルートは鳩待峠からの周回コース。
この下山道は残雪期しか通過できず、なんとソリに乗って下ることができます。
【ルート】
①登り:120min (鳩待峠→至仏山)
②下り:70min (至仏山→山ノ鼻ビジターセンター)
③平地:60min (山ノ鼻ビジターセンター→鳩待峠)
午後になるにつれて天気が崩れる予報だったので、夜明け前に鳩待峠を出発。
逸る気持ちは「普通車1日2,500円」という攻めた駐車料金にも負けず。
なんといっても、今日の装備はいつもと一味違う。
登山道に踏みいれると、すぐにお迎えしてくれる至仏山。
まだ樹木が雪に埋もれたままで、見通しのいい残雪期の特権なのかもしれません。
今日は一人なので、あのテッペンを目指して黙々と歩くのみです。
終始ゆったりとした傾斜が続くルートを、寒さで縮こまった身体をほぐすようにあるくこと20分。後ろから太陽が顔を出しました。
山で見る夜明けの空は、何度見ても心を奪われます。
刻々と変わる空の色をひとしきり堪能したら、再び黙々と足を進めます。
しばらく進むと、木々が薄くなりぱっと眺望が開けます。
そこに見えたのは…
あー、かっこいい。
去年の夏、初めての本格登山で登り、僕を登山沼に引き込んだにくい奴です。
やー、でもかっこいいから許す。
このあたりからは目の前も開け、山頂へつながるトレースがずーっと伸びています。
この時期はまだまだ雪深い尾瀬、単独行ということもあり道迷いを警戒していましたが杞憂でした。
この辺は傾斜がゆるいからか、前方への推進力が雪に吸収されるなぁと思いながらアイゼンを付けたり外したりしてます。
実感としてはどっこいどっこい。危険箇所もなく、ノーアイゼンでも安全に登れる良い山だと思います。雪山に行く以上はアイゼンは必携ですけどね。
歩を進めると眼の前に「山頂だーっ!」っていいたくなるいい形の山頂が。偽ピークで名高い小至仏山です。
今回は体力的に厳しい行程でもないので、心にダメージを食らうことなく超えていきます。
小至仏を超え稜線に出て、後ろを振り向くと…
うおー、かっこいい。
武尊山、まだ登っていないけど今年は登ってやるからな~
この辺から雪を割るように地表に出ている岩と、植物の色の対比を楽しむことができます。
山頂の予感とともに、その手前で本日最高の景色をいただきました。
山頂についたときには少しガスが昇り始めており、ベストタイミングでした。
1人ではしゃいでるうちに山頂に到着。
さっきの光景を思い出しニヤニヤしながら、夜明け前から登り始めた自分を褒めます。
そういや人に全く会わなかったな…と、広い空を独り占めしている湯悦に浸ります。
一呼吸おいて、寒いしラーメンでも…とバーナーを取り出すも、ライターの火打石部分がなぜか湿っており点火しない事件が発生。
いつでも添加できるように火打石タイプのライターを携行していたけど、そりゃ湿ったらつかないよね…一つ勉強になった。
即時、下山開始です。
お待ちかねのソリタイム。ウキウキで視線を上げた先には…
えー、背中にぶら下がってるソリの意味は…
悲しみのあまり、座り込む。悲しい。
仕方ないと立ち上がり、歩くこと15分。
現れました、雪です。
23歳の男が一人でソリ遊びをするだけの動画が撮れました。
一番下まで、300mひたすら滑り続けて、満足しました。後悔はありません。
ちなみに当たり前ですが雪でビショビショになりました。防水な服装で滑るのをおすすめします。
尾瀬ヶ原まで降りてきたら、後はのんびり帰るだけ。
勢いでソリを背負って登った至仏山。しかし、GW中の山行でも想い出深いものとなりました。
危険箇所はまったくなく、眺望もいい。下山後は尾瀬を散策できる、登山の魅力が詰まった素敵な山だと思います。雪山デビューにも最適かも。